網膜動脈閉塞症について

網膜動脈閉塞症の視覚イメージ写真

網膜動脈閉塞症とは網膜の動脈が詰まり、網膜細胞への血流が途絶えることで虚血(酸素や栄養不足)を起こす疾患であり、動脈硬化や血管の炎症が原因で発症します。
栄養や酸素が網膜に届いている静脈閉塞とは違い、網膜動脈閉塞症は網膜の細胞が急激に死んでしまうリスクがあります。
網膜動脈閉塞症の症状は、血管の閉塞部位により異なります。

網膜中心動脈閉塞症(CRAO)

視神経乳頭内の中心動脈の詰まりにより、網膜全体に血液が行かない虚血状態となります。
片眼の高度な視力低下が起こります。この視力低下は非可逆性であり1~2時間で起こります。

網膜動脈分枝閉塞症(BRAO)

網膜動脈の枝が詰まり起こります。閉塞した領域に一致した視野欠損がみられます。そのため、視力は1.0以上あるにもかかわらず上半分や下半分が見えないというような症状が出ます。
また、閉塞部位に黄斑部を含んでいると高度の視力低下を起こすこともあります。

網膜動脈閉塞は眼科の救急疾患の一つであり、発症後少しでも早く血流を再開させる必要があります。
網膜が虚血に耐えられる時間は1時間ほどといわれており、治療が遅れると高度の視力障害が残ってしまいます。
このため、急な視力低下は速やかに眼科を受診する必要があります。
網膜中心動脈もしくは分枝が、血栓や血管炎などの原因により閉塞することで網膜虚血を生じる疾患です。突然に片眼の視力・視野障害を生じる特徴で予後は不良であり、数時間以内に網膜が不可逆性変化に至る眼科医療での救急疾患の一つです。

網膜動脈閉塞症と針灸について

急激に虚血を起こすため対応が難しい疾患ですが、針灸で残存している機能を最大限回復させることを目的としていきます。
障害を受けた視細胞が生きている状態で治療を開始しなければならないため、発症から短時間で治療を開始することが大切になります。
発症後なるべく早く(遅くても1ヶ月以内)に針灸治療を開始することが望ましいです。

施術の流れ

視力検査、鈴木式アイチェックチャートを使用して症状の程度を確認していきます。
眼科の検査結果をお持ちの方はご持参ください。

施術部位

全身の状態や視機能の程度を見ながら、首・肩・背中・手足・眼の周囲に針をしていきます。
状態によりますが動脈閉塞症は首と頭にパルス療法を行います。

回数について

救急の症状であるため、発症から間もない場合は週3回からの開始となります。

発症~1ヶ月間

週3回(可能な限りの改善を目指します)

1ヶ月~3ヶ月間

週2回(引き続き間隔を空けずに改善を目指します)

3ヶ月~

週1回(回復が落ち着いてきたころのため、週1回の施術で状態を確認します。)

その後、徐々に間隔をあけていき、隔週~月1回の治療へと移行して再発を予防します。